■ペットと愉しく暮らす家《猫編》

《にゃんとも快適♪猫と愉しく暮らす家》

猫を飼っているご家庭が新築を検討する際には、猫の安心」「運動」「探検」「清潔」「安全」という5つの視点を重視すると、猫も飼い主も「こんな家が欲しかった!」と感じる住まいになります。
例えば、窓際のひなたぼっこスペース、高めのキャットウォーク、静かなトイレコーナー、掃除しやすい床材、防災・脱走防止対策などがあれば、猫のストレス軽減にもつながります。家づくりの段階から「猫の目線・動線・習性」を意識することで、長く快適に暮らせる住まいが出来上がります。
以下では、猫を飼っている方向けの新築住宅で意識したいポイントを、目次付きで詳しくご紹介します。


【目次】

  1. 猫の性質を知る ― 家づくりの前提として

  2. 安心できる「くつろぎゾーン」づくり

  3. 運動・探検できる住まいの工夫

  4. トイレ・ごはん・水の専用スペース

  5. 床・壁・窓など素材・配置の工夫

  6. 安全・脱走防止・掃除のしやすさ

  7. 家族も猫も快適に暮らすための間取りと動線

  8. まとめ

1.猫の性質を知る・・・家づくりの前提として

猫は「縄張りを持つ」「高い場所が安心」「見下ろせる位置が好き」「落ち着ける隠れ場が必要」などの習性があります。たとえば、英国の動物福祉機構では「猫は安全な高い場所、静かな隠れ場、運動できるスペース、清潔なトイレを必要とする」と指摘されています。
つまり、家を設計・プランニングする際には「猫基準」での空間づくり(=猫が本能的に安心・快適と感じる環境づくり)が大切なのです。

具体的には:

  • 高低差(キャットウォーク、窓台、棚の上)

  • 隠れられる場所(キャットハウス、お休みスペースの確保)

  • 安全に探索できる動線(家具の配置、窓・網戸の安全性)

  • 清潔・快適な専用設備(トイレ、給水・給餌、爪とぎ)

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【フリ-ハンギングシェル(永大産業)】
自由自在にレイアウトできる壁面を活かしたキャットステップです。

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これらを、新築の段階で「どう組み込むか」を考えるといいと思います。あとからリフォーム・追加するとコストも手間もかかります。
早めの検討がおすすめです。


 

2.安心できる「くつろぎゾ-ン」づくり

猫にとって“くつろぎスペース”は非常に重要です。静かで落ち着けて、かつ「安全だ」と感じられる場所があることで、ストレスを軽減できます。 

【新築で意識すると良いポイントは】

  • 窓際・高めの休憩スペース:猫は外を眺めたり、日差しを浴びたりするのを好みます。例えば、窓のすぐそばに幅のあるカウンターや腰掛けを設けたり、窓台を少し広めに取ると良いでしょう。

  • 高所へのアクセス:棚を壁面に設置してキャットウォーク風にする、階段横の壁を活用する等、「高く上がれる場所」を作ると猫は安心します。

  • 隠れられる場所:ベッド下、ソファの横、専用のキャットケーブ(猫用ハウス)など、落ち着ける“隠れ場”を用意しましょう。猫は自分だけの“逃げ場”があると気持ちが安定します。

  • 温度・風の配慮:寒い日や風が直接当たる窓辺は猫にとって快適とは言えません。窓ガラスの断熱・二重断熱、風の当たらない配置なども検討しましょう。

このような要素をあらかじめプランに盛り込んでおくと、猫が「我が家」という感じで落ち着きやすくなります。


 

3.運動・探検できる住まいの工夫

インドア飼いの猫でも運動できなければストレスや肥満につながるため、住まいに“遊び・探検”できる仕掛けを組み込むことが大切です。

【新築で検討すべき工夫は】

  • キャットウォーク・壁面ステップ:廊下やリビングの壁を使って、壁付けのステップや梁を通じて高低差を作る。猫が上下運動できる動線を確保する。

  • 窓の手すり・出窓スペースの活用:窓際に少し出っ張ったスペースを作り、ガラス面の前に猫が腰掛けられるようにしておくと、外の景色を眺めながらリラックスできます。

  • 遊び場の確保:リビングの一角に爪とぎポールやキャットタワーを設置するスペースを確保。将来的に増やす余裕(壁の補強・床の耐久性)があると安心です。

  • 屋外とのつながり(安全なら):もし庭やバルコニーがある場合、猫が外の風・匂いを感じられる“猫専用エリア”(例:猫用出入口付きのバルコニー柵・キャットラン)も検討できます。最近は「キャティオ(cat-patio)」という猫用屋外空間が人気という報告もあります。

  • 暗め・静かな探検ルート:猫が安心して動ける“抜け道”や“ちょっとした隠れ路”を設けると、猫は自分のペースで家を巡回できます。家具配置と通路幅も考えておきましょう。

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【にゃんボ-ルMAG】(マグベ-ス)
愛猫に合わせて付け外しできるマグネット式キャットタワ-です。

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運動・探検できる環境を整えておくことで、猫の健康維持・行動充実にもつながります。


 

4.トイレ・ごはん・水の専用スペ-ス

猫が快適に暮らすためには「トイレ・食事・水飲み場」がしっかり分けられていて、かつ猫にとってストレスの少ない配置であることが重要です。 

【新築で配慮したいポイント】

  • トイレは静かで目立たない場所に:猫はトイレを使うとき、周囲の視線や音が気になると使いたがりません。なので、リビングから少し離れた落ち着けるコーナーに設けましょう。掃除もしやすいように床材や換気も検討。

  • 食事・水とトイレを離す:猫は「食事・水・睡眠・排せつ」が別々の場所であることを好みます。トイレのそばでは食べたり飲んだりしたくないため、動線に配慮しましょう。

  • 複数猫飼育なら設備数の検討:階数がある家や部屋数が多い家の場合、各フロアにトイレを設けると猫が利用しやすくなります。

  • 掃除しやすさ:床材や壁材を選ぶ際、ペット対応・防水・汚れ防止・滑りにくさを意識しましょう。トイレ前にマットを敷くスペースも確保すると良いです。

  • 水・給餌場所の配慮:水飲み場は静かな場所に。ガラスや窓からの直射日光が当たらないよう配置すると、水質の劣化も抑えられます。

このように「猫が使いやすく、飼い主も管理しやすい専用ゾーン」をあらかじめプランに入れておくと、暮らし始めてからの不便さが減少します。


 

5.床・壁・窓など素材や配置の工夫

家の素材や窓・ドアの開口部なども、猫の暮らしやすさに大きく影響します。新築段階で工夫をしておくと、猫の安全・快適性・メンテナンス性が高まります。
【具体的には】

  • 床材選び:滑りにくく、脚に負担をかけない素材(クッションフロア、ペット用フローリング)を検討。猫は走ったりジャンプしたりしますので、転倒リスクの低い床材が望ましいです。

  • 壁材・建具の耐久性:猫が爪を立てたり、壁を登ったりする可能性があるため、傷が付きにくく補修しやすい壁材を。

  • 窓・サッシの安全対策:網戸の強度、窓のロック機構、脱走防止用の格子やフェンス設置など、猫が急に外へ飛び出すリスクに備えましょう。実際、猫が窓やバルコニーから落ちる・逃げる事例もあります。 

  • 窓の配置・採光:窓のそばに猫用の腰掛けスペースを設けると、外を眺める楽しみができます。南・西向きの窓は日差しが強くなりすぎる場合があるので、ひなたぼっこスペースとして適度な遮光・断熱も検討。

  • 壁との高低差を活かす設計:キャットウォークとともに、段差を活かした壁面設計・棚設置を前提に配線・壁補強をしておくと後からの追加工事が少なくて済みます。

  • 通気・換気・断熱:猫は快適な温度・湿度も大切。新築なら断熱・気密をきちんと確保しつつ、窓や換気口で風通しを確保すると、猫にとっても居心地のよい環境になります。

これらの素材・配置を“猫目線”で組み込むことが、長く快適に暮らせる住宅をつくる鍵です。


 

6.安全・脱走防止・掃除のしやすさ

猫がいる家ならではの安全対策・掃除のしやすさも、新築時に検討しておきたい項目です。後から「ここも対策しておけばよかった…」とならないよう、以下の点を押さえておきましょう。

6-1:安全・脱走防止
  • 窓・バルコニー・勝手口など、猫が外に出てしまう可能性のある箇所には脱走防止対策(ロック、二重窓、フェンス、キャットドアの鍵)をつけましょう。

  • 階段・吹き抜け部分には落下防止のネット・手すりの設計を。特に好奇心旺盛な猫は高所から飛び降りることもありますので、安全性が重要です。

  • 電気コード・観葉植物・薬品・洗剤など、猫が誤ってかじったり誤飲したりしやすいものは、収納位置や配線位置を工夫。建築段階で配線やコンセントの位置を検討するのも良いです。 

  • フローリングの滑りやすさ、段差の急さ、家具の配置なども猫の足腰・関節に配慮を。将来も視野に入れてバリアフリー要素を一部組み込むのもおすすめです。

6-2:掃除・メンテナンスのしやすさ
  • LDKや廊下など猫がよく出入りする場所には、汚れが落ちやすい床・壁材を選びましょう。毛の掃き出し・掃除機がけが楽になる素材なら日々の手入れがラクになります。

  • トイレ周り・水飲み場付近には、撥水性・防臭性の高い床材を。リフォーム時期を遅らせる意味でも、建築時に考えておきたい部分です。

  • 隠れ場・キャットウォーク・棚などを設ける場合、ホコリ・毛が溜まりやすくなります。掃除のためのアクセス(可動棚・クロス貼り替え可能壁面)をあらかじめ確保しておくと安心です。

  • ペット用設備(給水器、自動餌やり器、トイレ用マット)を設ける場合、配線・電源の位置に配慮して設置スペースを確保しておくと、後々設置がスムーズです。


 

7.家族も猫も快適に暮らすための間取りと動線

猫と暮らす家づくりでは、「猫の動線」と「人の暮らしの動線」の両立が重要です。新築段階で以下のような間取り・動線を意識してみましょう。

  • 猫の“活動ゾーン”と“くつろぎゾーン”を分ける:例えば、リビング横にキャットスペースを設ける、廊下から猫用の高所アクセスを設計するなど、猫が自由に動ける範囲を確保しつつ、人の生活空間を乱さないよう配慮。

  • 階段・吹き抜けを活かした猫の上下動線:2階建ての場合、階段ホールや吹き抜けにキャットウォークを兼ねた棚を設置しておくと、猫は上下運動を自然に行えます。

  • 玄関・勝手口周りの脱走対策ゾーン設計:玄関を入ってすぐ“猫脱走防止サークル(セカンドドア)”を設置しておくと安心です。新築時に余裕をもたせておくだけでも大きな安心材料になります。

  • 掃除動線を考える:猫がよく出入りする水飲み場・トイレ・爪とぎポール付近は、掃除しやすい位置・床材にしておくと、飼い主のストレス軽減にもつながります。

  • 家族の気配を感じながら、猫も安心できる設計:完全に別室にしてしまうと猫が孤立感を感じる場合も。リビングダイニング近くに猫のスペースを設けることで、家族とのコミュニケーションも取りやすくなります。

  • 将来の変化にも対応できる設計:ライフステージが変わった後も使いやすいよう、猫用設備や動線を将来のリフォームを見据えて設計するのがおすすめです。

このように、家族と猫、お互いがストレスなく過ごせる“共存設計”が新築成功の鍵です。


 

8.まとめ

猫を飼っているご家庭が新築を建てるときは、猫の暮らしを「我が家の第一住人」と考えて、家づくりを進めると良い住まいになります。
猫にとって安心できるくつろぎ場、高低差のある探検ゾーン、専用設備、素材・安全設計、そして人も猫も暮らしやすい動線。これらをきちんと設計に落とし込むことで、猫が「わが家」と感じ、飼い主さまも「この家にして良かった」と思える住まいになります。

猫も人も快適に、長くそばにいられる家づくりを応援します。