2013年2月:【ヒ-トショックの予防法】

皆さんこんにちは、渡邉です。

2月に入り寒さもいよいよ本格的になってきました。今月号の「ひげ日記」では「ヒ-トショック」の予防法についてお知らせしたいと思います。先日のNHKニュ-スによると、おととし1年間で入浴中に突然、心肺停止となって亡くなった人は、高齢者を中心に全国でおよそ1万7000人以上と推計されるそうです。

推計したのは、東京都健康長寿医療センタ-研究所の高橋医師の研究グル-プです。月別では1月が18.2%と最も多く、12月が17.0%、2月が13.5%となっており、寒さが厳しい時期に多く、年齢別では75歳以上がおよそ8割を占めました。亡くなった方の多くは、いわゆる「ヒ-トショック」が原因とみられるということです。

■ヒートショックとは

 ヒ-トショックとは、急激な温度変化により体が受ける影響のことです。冬場に暖房の効いた居間からトイレなどに行く時に、体が「ブルッ」としますよね。これが「ヒ-トショック」です。暖房の効いた居間から寒い脱衣室で服を脱ぎ、熱いお湯に入るときに起こる血圧の乱高下や脈拍の急激な変化が原因で、脳出血や脳梗塞等のヒートショックを起こしてしまうのです。

■ヒートショックを起こさない方法

 ヒ-トショック対策として最も有効なのは、リビングと廊下や脱衣室、トイレ等の温度差を無くす事です。しかし、既存の住宅で家全体を温かくするなど、そう簡単にはできません。そこで、どうすれば室温の差を小さくできるのか、現在の住まいでできる工夫を中心にご紹介させていただきます。

■現在の住まいでできる工夫

 ①シャワ-給湯
現在、浴槽へのお湯はりを蛇口をひねって行っている方にお勧めの方法です。浴槽にお湯をはるときに、蛇口からお湯を出すのでは無く、シャワ-を使ってお湯を張るのです。シャワ-を使ってお湯を張ると効率よく浴室温度を上昇させる事ができます。東京ガスの調べではこのシャワ-給湯により浴室温度は15分間に約10度上昇させることができるそうです。

 ②浴槽の蓋を開けておく
ボイラ-等の自動お湯はり機能を使って浴槽にお湯をためている方は、冬の間は浴槽の蓋を開けてお湯を張って下さい。これだけでも浴室の温度は上昇します。

 ③洗い場にスノコを敷く
昔からある方法ですが、この方法も効果的です。

 ④お湯の温度を低めに設定する
浴室での事故は入浴温度41度を境にして死亡者数の増加がみられるそうです。お湯の温度を38度から40度のぬるめにすることも効果的です。

 ⑤高齢者や血圧の高い人は一番風呂を避ける
家族が入浴した後の二番湯に入れば、浴室も暖まっていますから、ヒートショックも起こりにくくなります。

 ⑥入浴方法を工夫する
「半身浴」や「かけ湯」を組み合わせるなど入浴方法を工夫しましょう。これらの方法は心臓や肺を水圧の負担からも守るので、高齢者や血圧の高い人にはお勧めです。

 ⑦その他の工夫
・気温が高い明るい内にお風呂に入る。
・空腹時や食後すぐにはお風呂に入らない(食後は一時的に血圧が下がるので要注意です)
・入浴中の心筋梗塞や脳梗塞の予防のために入浴前に水分を補給する

■リフォームでの対応

 ①浴室や脱衣室のサッシの内側に樹脂製内窓 を取り付ける。(1ヶ所に付き3~4万程度)
 ②浴室に暖房器具を取り付ける(10万円程度) 可能なら、浴室を暖房するのがヒ-トショックの予防には一番効果的です。既存の浴室に後付け可能な浴室用暖房機もあります。
 ③トイレや脱衣室・浴室をリフォ-ムする場合は機器の更新だけでなく床や壁の断熱改修にも目を向けてください。

■脱衣室やトイレにも暖房器具を

 ヒートショックを起こしやすいのは浴室・脱衣室・トイレと言われています。浴室への工夫だけでなく、脱衣室やトイレに暖房器具を設置するのも効果的です。またトイレの窓にカ-テンを取り付けるだけでも断熱効果はアップします。

■新築をお考えの方

 新築をお考えの方は、高気密・高断熱の家にすることです。高気密・高断熱の家はヒ-トショックの予防だけでなく、健康に良いこともわかってきました。更に暖冷房費の大幅削減もできるなど良いことずくめなのです。

ヒ-トショックが原因で亡くなる方の数は交通事故での死者数より多いと言われています。また、高齢者が自宅で亡くなる原因の4分の1はヒ-ショックだともいわれているのです。ヒ-トショック対策をきちっとして、寒い冬を乗り切りましょう。トイレや浴室、脱衣室のリフォ-ム相談はお気軽に弊社までお問い合わせ下さい。それでは、また来月お会いしましょう。

㈱建築工房わたなべ 代表取締役 渡邉泰敏