2020年10月:【省エネ住宅と健康の関係】

みなさんこんにちは渡邉です。

早いものでもう10月、めっきり涼しくと言うより、寒いくらいになって来ましたね。つい先日までは半袖のワイシャツだったのに、最近は暑がりの私でも長袖のワイシャツにカーデガンを羽織ってます。暑い日があったり寒い日があったり、朝晩の気温差も激しかったりしています。

みなさんも体調を崩さないように気をつけてくださいね。さて今月号のひげ日記は、国土交通省 住宅局安心居住推進課及び住宅生産課の資料より、『断熱改修等による居住者の健康への影響調査 第3回中間報告』の内容をもとに、『断熱性能が高い家は住まい手の健康につながる』ということをお伝えさせて頂きたいと思います。

■調査概要・調査期間:平成26年~30年度

・検証内容:断熱改修を予定する住宅を対象として、改修前後における、居住者の血圧や身体活動量など健康への影響を検証する。

・調査数:断熱改修を予定する住居に居住する方4,131人(2,307軒)について改修前の健康調査を行うとともに、当該住宅について既に断熱改修を実施した方1,194人(679軒)について改修後の検査を行った。

・実施事業者:(一社)日本サスティナブル建築協会

■第3回中間報告概要

 得られたデータに基づき検証を行ったところ、住宅の室内環境が血圧など健康関連事象に与える影響について、以下の得られつつある知見が確認された。

1.室温が年間を通じて安定している住宅では居住者の血圧の季節差が顕著に小さい。

2.居住者の血圧は、部屋間の温度差が大きく床近傍の室温が低い住宅で有意に高い。

3.断熱改修後に、居住者の起床時の最高血圧が有意に低下。

4.室温が低い家では、コレステロール値が基準範囲を超える人、心電図の異常所見のある人が有意に多い。

5.就寝前の室温が低い住宅ほど、過活動膀胱症状を有する人が有意に多い。断熱改修後に就寝前居間室温が上昇した住宅では、過活動膀胱症状が有意に緩和。

6.床近傍の室温が低い住宅では様々な疾病・症状を有する人が有意に多い。

7.断熱改修に伴う室温上昇によって暖房習慣が変化した住宅では、住宅内身体活動時間が有意に増加

■まとめ

以前から高気密・高断熱の家は冷暖房費の削減など省エネで財布に優しいことはもとより、住む人の健康にも良いと言われていました。

こうした調査を行い実際のデータを蓄積していくことで、断熱性能が高く、暖かい「省エネ住宅」は、高血圧の防止やヒートショックの予防、循環器疾患の予防、熱中症の予防など住まい手の健康づくりにつながることがはっきりとわかってきました。

今月号に、一般社団法人日本サスティナブル建築協会が国土交通省と厚生労働省の協力を得て作成した、『「省エネ住宅」と「健康」の関係をご存知ですか?』というチラシを同封してありますので、是非ご一読いただきたいと思います

更に詳しい情報は、国土交通省の下記ページをご覧ください。

https://www.mlit.go.jp/report/press/house07_hh_000198.html

■住宅の適合義務化見送り

令和3年4月にスタートする予定の改正建築物省エネ法では、床面積300㎡未満(約90坪未満)の住宅等のみ、省エネ基準の適合義務化が見送られました。これら住宅等の年間着工棟数は42万9098棟で、新築全体の84%を占めています。しかし、省エネ基準を満たす住宅は6割程度に過ぎないということです。

もともと義務化をしようとしていた省エネ基準もかなりレベルの低い断熱性能なのに、新築住宅の4割がこの基準すら満たしていないという現実に驚きました。私は法律で縛らないと、こうした性能で家づくりをする会社は無くならないと思います。

■さいごに

冬の明け方、布団の中は暖かくても部屋の温度が低いと、呼吸で肺に入る空気の温度は低いままです。肺が冷たいと心臓も冷えたままになり心房細動による突然死の引き金になりやすく肺の免疫力も低下してしまいます。

 健康のためにも寝室の断熱リフォームは特に大切なのです。断熱リフォームは家中まるごとやるのが一番良いのですが、コストもそれなりにかかってしまいます。

家族構成が変わり、あまり使わない部屋まで断熱リフォームをするのももったいないという考え方もあります。普段使っている居間や寝室、在来の浴室をユニットバスに取り替える。

また脱衣室やトイレに暖房器具を設置するなどでも、ヒートショックのリスクは大幅に軽減できます。予算に応じてできる所から取り組んでみてはいかがでしょうか。また断熱リフォームを行わない場合は、寒さを我慢せずに脱衣室や浴室、寝室等をしっかり暖房して室温が低下しすぎないようにして下さい。

 断熱リフォームでわからない事や知りたい事が有る方、新築のご相談はもちろんこうした工事のお見積りもお気軽に弊社までお問合せ下さい。今年も残り3か月を切りました。コロナになんか負けぬよう、年末まで頑張りたいと思います。それではまた来月、お会いしましょう。

㈱建築工房わたなべ  代表取締役  渡邉 泰敏