2012年11月:【省エネ住宅を測る“ものさし】

 皆さんこんにちは、渡邉です。日中はまだ暑い日も多いですが、朝晩はずいぶん寒くなりました。気がつけばもう11月。今年も残すところわずか2ヶ月です。年末まで気を抜かず頑張りたいと思います。
■目指すのは低炭素社会の実現
 さて、国は低炭素社会の実現を目指し、「低炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議」を設置し議論を重ねてきました。今月号の「ひげ日記」では、この推進会議がまとめた報告書と工程表をもとに、今後日本が目指す省エネ住宅の方向性について説明させていただきたいと思います。報告書では、建物の省エネ性能を次の5つのレベルに区分しています。

 ①現在の省エネルギ-基準
 ②改正後の省エネルギ-基準
 ③低炭素住宅
 ④ゼロ・エネルギ-住宅
 ⑤LCCM住宅
 国は①から⑤へ段階的にレベルアップさせていきたいと考えています。まずは、①「現在の省エネ基準」についてです。これは弊社で最低基準としている「次世代省エネ基準」と呼ばれているものです。基準と言っても法律ではないので、ハウスメ-カ-を含めても新築住宅の50%~60%程度しかこの基準で建築されていませんし、工務店での適合率はかなり低く、その半分にも満たないのが現状です。国は、その省エネ基準を改正して2020年までに全ての建築物に②の「改正省エネ基準」を義務化することを決定しました。

■断熱性能から一次エネルギ-消費量へ
 ①と②以降での考え方の大きな違いは、省エネ性能を測る“ものさし”を変えるということです。①「現在の省エネ基準」までは、建物の“断熱性能”を省エネの“ものさし”としてきたのに対し、②「改正後の省エネ基準」以降では、建物の断熱性能は現在の省エネ基準程度とした上で、更に設備(給湯・換気・暖冷房・照明など)も含め、“建物全体の一次エネルギ-消費量”で考えるようになるということです。つまり今後は“住宅”も“自動車”のように「燃費」で考えるようになるのです。

   ③につきましては、「都市の低炭素化の促進に関する法律」に基づき、本年度中にも「低炭素住宅」の認定制度がスタ-トします。これは省エネ基準と比べ一次エネルギ-消費量が△10%以上で、省エネルギ-性に関する基準では考慮されない“節水対策”や“エネルギ-の見える化”“木材の利用”などを行った住宅を認定し税等の優遇処置を行おうというものです。
その次の段階が④「ゼロ・エネルギ-住宅」です。居住時における年間での一次エネルギ-消費量が正味ゼロ、または概ねゼロとなる住宅です。国はこの「ゼロエネ住宅」を2020~2030年には新築住宅の標準にしたいと考えているのです。

■究極のエコハウス「LCCM住宅」
 そして最後が⑤の「LCCM住宅」です。LCCM(ライフサイクルカ-ボンマイナス)住宅とは、居住時だけでなく住宅の建設から運用、解体、再利用といったライフサイクル全体でCO2排出量をマイナスにしようというものです。

   つまり建設段階と運用段階で排出されるCO2を、太陽光発電などにより自ら創り出すエネルギ-によって削減されたCO2で相殺していき最終的にCO2収支をマイナスにしようとする住宅です。そのためには、まずはパッシブデザインの活用です。太陽の光や熱、そして風などの自然エネルギ-を活用し、建物の断熱と気密を図り、化石エネルギ-をなるべく用いなくても快適な住まいとすることが必要です。

   その上で高効率機器を導入し、そして太陽熱給湯や太陽光発電といった創エネ設備を設置することとなります。そうです、今まで弊社で皆様にお勧めしている家づくりが、まさしく国が今後目指す家づくりなのです。このLCCM住宅の認定制度も既に始まっております。

   ここでちょっと宣伝とお知らせです。このたび弊社設計施工の住宅がなんとLCCM住宅の認定を受けられそうです。認定申請書類を提出してから既に2ヶ月以上、その書類訂正もほぼ終わり、最終書類を送付してからも2週間以上経っています。事務局によると現在最終確認中ということです。11月1日現在、全国でもまだ15棟しかLCCM住宅の認定は行われておりません。認定されると静岡県東部では大手ハウスメ-カ-を含めても最初のLCCM認定住宅となる予定です。

   この住宅の見学会を11月10日(土)、11日(日)と開催いたします。工務店の作った国が目指す最先端のLCCM住宅。それはどんな住宅なのか是非ご覧いただきたいと思います。
 (※詳細はこちらをご覧ください)
それでは、また来月!!

■「LCCM住宅認定書」が届きました。(11月15日追記)
ハウスメーカーを含め静岡東部初の「LCCM住宅認定」が取得できました。ただ、残念ながら全国で16棟目の予定だったのですが、17棟目でした。

㈱建築工房わたなべ 代表取締役 渡邉泰敏