2013年3月:【リコ-ルについて考える】

皆さんこんにちは渡邉です。3月に入り少しずつ春めいてきた今日この頃、いかがお過ごしですか? さて先日、長崎市のグル-プホ-ム火災で4人が亡くなるという事故がありました。原因はリコ-ル対象のTDK製加湿器が火元だった可能性が高い事が判明しました。今月号の「ひげ日記」ではこの「リコ-ル」について考えてみたいと思います。

■そもそも「リコール」とは何でしょう

 ビジネス用語辞典によりますと、製品になんらかの欠陥が見つかった場合に、製造者がその事実を公表し、製品を回収して無償で修理や交換、返金などの措置を取ること。リコ-ルの対象には自動車や家電製品、食品などがあり、消費生活用製品安全法や道路運送車両法、食品衛生法などの各種法令に基づくリコ-ルのほか、製造者や販売者による自主的リコ-ルもある。となっています。

 ではこの「リコ-ル」はいったいどのくらいの頻度で発生しているのでしょう。経済産業省の「製品安全ガイド」というホ-ムペ-ジで、どのくらいリコ-ルが行われたのか数えてみました。その結果、昨年1年間でのリコ-ル数は95件ありました。単純計算で1ヶ月に約8件もリコ-ルが行われていたのです。更に同サイトで製品事故数を検索してみると、昨年1年間の事故数は924件あったこともわかりました。何と月に77件です。

■松下電器の事例

 リコ-ルで思い出すのは、松下電器(現パナソニック)の大規模リコ-ルです。2005年に起きた石油ファンヒ-タ-のリコ-ルを覚えている方も多いと思います。テレビでの告知CM、折込チラシ、更に国内全世帯への告知ハガキの送付などの対応を行い、総額約200億円つぎ込んだと言われています。事故原因は「劣化」だったのに顧客に責任転嫁せず、かえって企業イメ-ジを向上させたとも言われています。

この石油ファンヒ-タ-は15万台も売れるヒット商品だったそうですが、こうした松下電器の努力にもかかわらず、回収は約7割程度だということです。

■主なリコール・製品回収等の情報サイト

 以下に主なリコ-ル情報が掲載されているサイト名をご案内しておきますので、インタ-ネットで検索して一度ご覧になって下さい。
・自動車…「自動車のリコ-ル
・不具合情報」(国土交通省) ・医薬品や医療機器…「医薬品等回収関連情報」(厚生労働省)
・消費生活製品…「製品安全ガイド」(経済産業省)
・製品回収や無償修理の情報…「回収無償修理のお知らせ」(独立行政法人国民生活センタ-)
  さすがお役所、きっちり情報も所轄官庁ごとに縦割りになってしまっていますし、ホ-ムペ-ジの作り方もバラバラで情報がとても探しにくいです。

■販売店からメーカーへの登録

 車の場合はディ-ラ-や車検制度もあるのでリコ-ルが比較的わかりやすい仕組みになっています。弊社で施工させて頂いたキッチンやユニットバスなどの場合は弊社を通してメ-カ-へ登録されています。また大手家電量販店等でポイントカ-ドを利用している場合は、ポイントカ-ドを通して購入履歴を把握している所が多いようです。問題なのはそれ以外の場合です。ポイントカ-ドも無く現金購入の場合は、販売店側では顧客情報を一切持っていない場合が多いのです。

■どうしたら良いのでしょうか?

 こうした事故の被害者にならないためにはどうしたら良いのでしょうか?一番確かなのは商品購入の都度、リストを作り定期的にリコ-ル対象になっていないか確認することです。しかしなかなか大変でそうしたことは出来ませんよね。

 最低限の自衛策としては商品を購入したらすぐにユ-ザ-登録ハガキ等でメ-カ-にユ-ザ-登録を行うことです。そして出来れば、インタ-ネットで定期的にリコ-ル情報を確認する。現状ではこのくらいしか方法は無いと思います。

 リコ-ルを巡っては、回収や無償修理が徹底せず事故が相次いでいるとして、内閣府の消費者委員会は消費者担当相と経済産業相に、リコ-ル情報が的確に伝わる仕組みを構築するよう指示したそうです。こうした悲劇が繰り返されないためにも一日も早い対応を望みたいと思います。
それではまた来月。

㈱建築工房わたなべ 代表取締役 渡邉泰敏