2008年4月:【暖房を考える】

4月4日・5日の両日、「岐阜県立森林文化アカデミー」にて開催された「自立循環型住宅研究会第三回フォーラム」に参加してきました。
この研究会の目指すものは、「省エネ×快適となる住まい」具体的に模索していくことです。この研究会に参加するためにはいくつかの実践が義務付けられています。実際に建築させていただいた住宅で、

①自立循環の省エネ試算を行うこと。
②温熱環境調査分析を行うこと。(その住宅で実際に30分ごとの温度と湿度のデータを測定し、そのデータを研究会専用のソフトにて解析をする。)
③お客様に温熱環境についてのアンケートの協力をいただく。

この三つがフォーラム参加の条件となっています。

「自立循環型住宅研究会」の今フォーラムでのテーマは「暖房でした。
はじめに、主催者の野池政宏さんによる「暖房負荷を解く」という講義が行われました。内容は、暖房器具の選定方法、必要な暖房器具能力の求め方、各種暖房器具の環境負荷…などについてでした。続いて冬の温湿度測定と調査に基づく事例の発表。
二日間で10名の発表がありました。使用していた暖房器具はさまざまで、エアコン、温水ルームファンファンヒーター、電気式床暖房、温水式床暖房、蓄熱暖房、薪ストーブ、OMソーラー、等本当に多種多様でした。
こうして実データをたくさん集めるとカタログなどではわからないことがいろいろ見えてきます。実際に温湿度のデータを取ってみると、必要以上に大きな暖房能力の機器を設置するように指示しているメーカーがあることもわかりました。あたりまえのことですが、住宅の断熱・気密のレベルや、求める室温等によって必要な暖房能力は違うのです。

すでに2000年から原油の生産能力は減少し、原油掘削のエネルギー効率も年々落ちています。つまり、たくさんのエネルギーを投入しないと石油が採れなくなっているということです。そのため、原油価格はどんどん上がっているのです。つまり、電気代やガス代についても、これからまだまだあがっていくということになります。少ない消費エネルギーで暖かな家にするためには、「断熱・気密の正しい設計と施工、そしてその家ごとの「暖房器具の選定」が必須です。最新のエアコンは、快適性以外の部分では本当に優れていますので一つの解として、エアコンと何かを組み合わせて暖房を考えるという方法があります。ペレットストーブ(薪ストーブ)を主暖房として考え、エアコンで補うという方法、さらに快適性を求めるのであれば、蓄熱暖房機や床暖房を主暖房としてエアコンと組み合わせるという方法もあります。快適性と省エネ性、そしてコストまで含めて考えた時、圧倒的に優れている暖房器具というものはありません。快適で環境にもお財布にも優しい家を創るためには、快適性コストそれに環境負荷のバランスがとても大切です。

いずれにしましても、住まい手の住まい方や考え方、そして求める性能やコストによって選ぶべき暖房器具は変わってくるのです。その前提として断熱・気密の性能はある程度上げておく必要があると考えます。新築を考えている方はもちろん、リフォームを考えている方も、断熱や暖房機器の選定にも留意していただき、「快適で省エネのできる家」を目指していただきたいと思っています。