2008年10月:【小池さんの家】

皆さんこんにちは、渡邉です。夏のク-ルビズもすっかり定着して、ノ-ネクタイで仕事をしている方がとても増えました。汗かきの私には、大変ありがたい流れです。私は9月末まではク-ルビズで、と思っていたのですが、月末の数日はすっかり涼しくなり、長袖のワイシャツにネクタイを締めて仕事をしていました。久しぶりにネクタイを締めると、ちょっと窮屈に感じましたが、やはりス-ツにネクタイは気持ちが引き締まる感じがします。

 ク-ルビズといえば小池百合子さんですが、最近私は彼女の事でちょっと気になっていることがあります。それは小池さんの自宅についてです。現在設計中の彼女の自宅は『2050年を見据えた究極のエコハウス』を目指しているそうです。さらに『一般庶民に手が出せる費用で建てる』とも言っているそうです。『一般の人が建築可能な予算で建てる、究極のエコハウス』。それはどんな住宅になるのでしょうか?他人事ながらとっても興味があります。

  ところで私は、今年の夏よく図書館へ足を運びました。そして温度や熱に関する物理や化学の本を沢山借りて読んでいました。どの本も頭が痛くなるような内容のとても難しい本ばかりでしたが、頑張って読みました。なぜかと言いますと、『自立循環研版 温熱環境を解く』(仮)、というタイトルのテキスト発行を目指しているからです。このテキストは、私が所属している『自立循環型住宅研究会』を主宰する野池政宏さんと、会の有志で作っています。その中で私の執筆担当が『熱と温度』という部分なのです。目指すのは『建築家が実務で使える、住宅の温熱環境についてのテキスト』です。
たとえば、家庭でのエネルギ-消費量の約1/3を占める給湯器について考えてみましょう。あなたは何が一番優れていると考えますか?そんな時、電力会社に聞くと、「空気の熱でお湯を沸かすエコキュ-トはCO2の排出も無く、少ないエネルギ-でたっぷりお湯が使え、給湯費用もガスに比べ断然お得です。」と勧めたりします。かたやガス会社に聞くと、「天然ガスはクリ-ンなエネルギーです。電気の場合は発電所より自宅への距離が遠いため、約60%のエネルギーを利用できず捨てていますので、無駄が多いのです。」と説明し、潜熱回収型ガスボイラ-(エコジョ-ズ)や排熱利用のガスエンジンコジェネレーションシステム(エコウィル)を勧めたりします。
さて困りました、果たしてどちらがよいのでしょう?それぞれの器具のメリットやデメリットは何でしょう?このテキストには、その答えが理由とともに書いてあります。更には高気密・高断熱についても書いてあります。たとえば、断熱・気密についてきちっと勉強せず、メ-カ-のマニュアル頼みの施工をしている会社の施工現場では、とんでもないことが起こっています。理屈を知らずマニュアル頼みなので、応用が利かないからです。施工者は良かれと思って施工しても、それが建物の寿命を短くしたりすることもあるのです。私はインタ-ネットや街中で、こうした危うい断熱や気密施工の現場を数多く目にしています。このテキストがあれば、こうした施工者を減らすことにも役立つと思います。そして是非、一般の建て主の方にも読んでいただきたいと思っています。自分の目で、自分の家の施工を確認して納得していただきたいのです。皆で頑張って、何とか年内には…と思って努力しています。

 いよいよ臨時国会も始まりました。9月号のひげ日記に書かせていただいた、来年から始まる予定の省エネ減税の行方はどうなるのか、注目したいと思います。