2008年11月:【Q値?!】

皆さんこんにちは、渡邉です。早いものでもう11月になってしまいました。最近は朝晩めっきり冷え込むようになってきましたので、皆さん風邪などひかぬよう注意してください。

 さて、最近弊社へ資料請求されるお客様の問い合わせの内容が少し変わってきました。
どのように変わってきたかといいますと、断熱・気密や省エネに関する質問が多くなってきたのです。最近までは断熱・気密については、お客様の要望というよりも弊社からの提案という形で、次世代省エネ基準の断熱性能を提案させていただいておりました。しかし、最近は断熱の方法や気密のとりかた、さらに目指すQ値(熱損失係数)などについて具体的な質問が大変多いのです。
そこで、今回のひげ日記ではこのQ値について、できるだけ簡単にご説明させていただきたいと思います。
Q値〔W/㎡・℃〕とは内外温度差1℃のとき、建物の床面積1㎡あたり、1時間にどのくらいの熱が建物から外に逃げてしまっているか、という数値です。富士市の場合、次世代省エネルギ-基準は、Q値2.7〔W/㎡・℃〕以下と規定されています。つまり床面積100㎡(約30坪)の住宅の場合、1時間で270Wの熱しか逃げない断熱性能の住宅ということです。では富士・富士宮地区で現在建築されている一般的な住宅の断熱性能はどのくらいなのかというと、Q値4.5位だと思われます。いわゆる新省エネ基準程度の断熱レベルです。そのレベルの住宅がおおよそ8割くらいだということだそうです。つまり、先ほどの270Wに対して450Wの熱が逃げるということになります。例えば外気温が2℃、そうした冬の朝起きたときの自然室温を比較してみると、次世代省エネ基準の家では12℃位、かたや新省エネ基準レベルの家では9℃位と予想されます。その時、それぞれの家で室温を20℃まで上げるのに必要な暖房能力を計算すると、次世代省エネの家では約1,660W、新省エネの家では4,450W必要という計算になります。次世代省エネの住宅にすれば標準的な住宅の約36%の暖房能力で足りるという計算になります。つまり、必要な暖房器具も能力の小さなもの、一般的には安いもので済む、ということになりますし、暖房のために必要な電気代も少なくて済むので、CO2排出量も少なくなります。また断熱性能の高い住宅では、室間や室内上下の温度差も小さくなります。さらに外気の影響も受けにくくなるので、一日の温度差も小さくなり、より快適な暖房を行えるようになるのです。
今後、住宅の新築や断熱リフォ-ム等を検討されている方は、住宅会社に言ってQ値を計算してもらい、次世代省エネ基準のQ値2.7を目安とすべきだと思います。実際にエアコンを選定する場合は、計算値に安全率をみて選定しますが、次世代省エネ基準の断熱性能をもつ住宅にした場合は、エアコンのカタログに書いてある木造住宅○○畳用という表示より、小さな能力のエアコンですむことになるのです。

~まとめ~  
・Q値(熱損失係数)は小さい程断熱性能が高い。
・Q値は2.7〔W/㎡・℃〕(次世代省エネ基準)。
・次世代省エネ基準の断熱性能をもった住宅は、一般的な住宅より能力の小さな暖冷房器具で良く、室内温度差の小さいエコで快適な温熱環境を実現できる。

つまり、断熱を次世代省エネ基準にすると『住む人と地球、そして財布にも優しい家』になるということです。

 最後に、政府・与党は10月30日、追加経済対策を発表しました。本年末に終了予定だった住宅ロ-ン減税を延長し、減税額は現在の最大160万円を来年は最大600万円という過去最大規模に引き上げたいということです。また、消費税は3年後を目途に引き上げたいということです。住宅ロ-ン減税の延長と拡充は有難いことですが、消費税率の引き上げは住宅の場合、新築でもリフォ-ムでもそれなりに大きな税額になります。新築やリフォ-ムを近い将来検討予定の方は、消費税率アップ間際にバタバタと検討するよりも、余裕を持って早い時期からじっくり検討されることをお勧めします。
それではまた。