2021年8月:【ウッドショック】

皆さまこんにちは、渡邉です。
毎日本当に暑いですね。

開催では賛否のあったオリンピックですが、私は日本の応援に力が入り、連日テレビにクギ付けでした。
卓球や野球、バトミントン、バレーボールや水泳などのおなじみの競技の他、全く見たことも無かったボルダリングやスケートボードなども日本人の活躍もあって楽しませて頂きました。

盛り上がりをみせたオリンピックは終了しましたが、私はパラリンピックもテレビで応援、そしてその後のお盆休みも基本はステイホームでゆっくりしようと思っています。

さて今月号の「ひげ日記」は住宅業界で話題の「ウッドショックについて書かせて頂きたいと思います。

◆ ウッドショックとは ◆

 今年の春先より、アメリカや中国の好景気のほか、世界的な木材需要の急増や空コンテナの不足により木材価格が高騰しています。
 1970年代に起きた「オイルショック」をもじった造語とも言われています。

 国土交通省 住宅局 住宅生産課では5月17日に「住宅用木材の価格高騰・不足を踏まえた木造住宅供給事業者等における業務の対応について」と題し、建築主への情報提供や事業者の資金繰り支援についての事務連絡を行いました。

 さらに7月30日にも「新型コロナウイルス感染症の拡大等に起因する住宅用木材の価格高騰
  ・不足について(補足)」を発信するほどの状況が続いています。
 まだまだ当面こうした木材の不足や価格の高騰状況は続くと思われます。

 世界的な需要と供給のひっ迫がウッドショックの直接的な要因ですが、私は根本的な原因は実はそこでは無いと皆様に伝えたいのです。

 林野庁の「森林・林業白書」によると日本の森林面積は約2500万ヘクタール
 国土の約3分の2が森林です。 

 しかしそれにもかかわらず、日本の木材自給率はたった37.8%(2019年)というお寒い状況です。
 約6割を輸入に頼っている現状が問題で、当然のことながら世界的な木材需要の高まりの影響は避けられない状況です。

 安いからと普段から外国産の材料にばかり頼っているから影響が大きいのです。

 ◆ 森林認証システムの家 ◆

 弊社では以前より一般社団法人富士山木造住宅協会の森林認証材委員会に参加し、仲間の工務店とともに活動を行っています。

 このグループはSGEC(『緑の循環』認証会議)より認証林産物取扱認定事業体の認定を受け、地域材を積極的に使う家づくりを推奨しています。

 これは国際的な基準により持続可能な森林経営をおこなっていると認められ認証を受けた森林→認証材の原木→製材・加工工場→プレカット工場→弊社建築現場へ搬入し、最終的にお客様に引き渡されるという仕組みです。

 こうした認証材を積極的に使う事により、森では植林→伐採→木材活用→植林というサイクルが生まれます。
 森は私たちにとって大切な資源であり、多くの価値をもっています。 

 木材は生長の過程では温暖化の一因である炭素を吸収しそして蓄積します。
 土壌の浸食を防ぎ災害を防止し、水源も確保してくれます。
 輸送中にも多くのCO2を排出しますので、なるべくなら輸送距離も短い近くの適切に管理された山の木を使うことが大切だと考えています。

 そうした弊社の考え方に共感し家づくりを行っていただいたお客様には、地域材を使った家づくりを証明するために「SGEC認証材使用建築物証明書」発行され、静岡県富士農林事務所より富士森林認証の家の認定通知書感謝状も贈られることとなっています。

 ■さいごに

 ウッドショックの真っただ中ではありますが、こうした活動を続けてきたお陰で、国産材の需要増加に伴う価格の高騰はあるものの、取引先各社の協力もありそれほどの工事遅延もなく仕事をさせていただくことができています。

 ウッドショックは大変な状況ですが、これを機に発注者のお客様も国産材を積極的に使った家づくりについて考えていただければ嬉しいですし、住宅業界にも国産材シフトの流れが少しでも生まれれば良いと思っています。

それではまた来月、お会いしましょう。

株式会社 建築工房わたなべ 代表取締役  渡邉 泰敏