2018年2月:【住宅の断熱と健康調査】

みなさんこんにちは、渡邉です。

 寒い日が続きインフルエンザも大流行しています。みなさんも体調を崩さないように、寒い夜は寝室もしっかり暖房して、朝方の室温が下がり過ぎないよう気を付けてくださいね。

 今月号の「ひげ日記」は、1月25日に国土交通省が「住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する調査」(調査検証:(一社)サスティナブル建築協会)の第2回中間報告を発表しましたので、その内容について簡単にご紹介させていただきます。

 この調査は平成26年から平成30年までを予定していますが、今回の報告は平成28年までの分としての中間報告です。家の寒さと健康との関係は建築関係者の間では知られていましたが、その科学的根拠や証拠を調べるために、断熱改修工事を予定している住宅の居間、寝室、脱衣室の温湿度測定や居住者に改修前後の血圧などの健康状況を比較測定していただくなどして調査しています。

 今回の概要では断熱改修を実施した住宅に住む人のデータを検証した結果、住宅の室内環境と血圧など居住者の健康関連事象との関連が確認され、「得られつつある知見」として以下の6項目が発表されました。

■調査結果概要

1)起床時の室温低下による血圧上昇への影響は、高齢になるほど大きい。

 本調査で得られた有効サンプル数2,282人の分析結果から得られた、年齢、性別、肥満、喫煙などの諸要因を考慮した推定モデルによると、例えば平均的な男性の場合、冬季における起床時の居間室温が20℃から10℃に下がると、血圧が30歳では4.5mmHg、60歳では8.5mmHg、80歳では11.2mmHg高くなることが分かりました。

2)室温の低い家に住む人ほど、起床時の血圧が高血圧となる確率が高い。

3)室温が低い家に住む人ほど、動脈硬化指数と心電図異常所見が有意に多い。

 朝の居間室温が16℃未満の家に住む人は、16℃以上の家に住む人に比べて、心電図異常所見ありである確率が1.8倍高かった。

4)断熱改修後に起床時の血圧が有意に低下。

 断熱改修前後共に測定結果の得られた497名の有効サンプルを用いた分析の結果、年齢、性別、生活習慣の影響を調整した上で、断熱改修後に起床時の居間室温が平均2.5℃暖かくなった場合には、起床時収縮期血圧が2.8mmHg低下することを確認しました。

5)就寝前の室温が低いほど、夜間頻尿リスクが有意に高い。

6)断熱改修後に夜間頻尿回数が有意に減少。

■さいごに

 冬の明け方、布団の中は暖かくても部屋の温度が低いと、呼吸で肺に入る空気の温度は低いままです。肺が冷たいと心臓も冷えたままになり心房細動による突然死の引き金になりやすく、肺の免疫力も低下してしまいます。

 健康のためにも寝室の断熱リフォームは特に大切なのです。断熱リフォームは家中まるごとやるのが一番良いのですが、コストもそれなりにかかってしまいます。しかし、家族構成が変わり、あまり使わない部屋まで断熱リフォームをするのももったいないという考え方もあります。普段使っている居間や寝室、在来の浴室をユニットバスに取り替える。

 また脱衣室やトイレに暖房器具を設置するなどでも、ヒートショックのリスクは大幅に軽減できます。予算に応じてできる所から取り組んでみてはいかがでしょうか。また断熱リフォームを行わない場合は寒さを我慢せずに脱衣室や、浴室、寝室等をしっかり暖房して室温が低下しすぎないようにして下さい。

 静岡県では弊社も参加している「しずおか健康・省エネ住宅推進協議会」がこの調査に協力しています。この事業は平成30年までを予定しており、改修前後の調査協力が前提ですが、省エネ改修工事等を行った場合、補助限度額100万円/戸(バリアフリー改修工事を伴う場合は120万円/戸)の補助もあります。断熱リフォームに関するご相談などはお気軽に弊社までお問合せ下さい。

それではまた来月お会いしましょう!!

㈱建築工房わたなべ 代表取締役 渡邉泰敏