2014年11月:【地震に強く住む人と地球にやさしい家】

みなさんこんにちは、渡邉です。

 早いもので今年も残すところ2ヶ月を切りました。“心ほっこり新聞”は平成19年3月に創刊させていただき、今月で第93号となりました。先日、創刊当時のひげ日記を読む機会があり、なつかしく読み返していると自画自賛してしまう記事をいくつか発見しました。

 今月は2007年5月号(創刊3号)の“ひげ日記”より一部抜粋してご紹介させていただきたいと思います。

■断熱性能からエネルギー消費量に

 さて201310月に住宅の省エネ基準は大幅に改正されました。現在は経過措置中で以前の基準でも良い事となっていますが、いよいよ来年の41日からは旧基準は使えなくなります。これまで住宅の省エネ基準というのは建物の断熱性能のみを評価していました。

 それが新しい省エネ基準では断熱性能だけでなく、空調設備や給湯器、照明器具、換気設備といったエネルギーを消費する設備類の性能も考慮して家全体での一次エネルギー消費量で評価するようになります。

■地震に強く住む人と地球にやさしい家

 以下は 2007年5月号のひげ日記より抜粋

(略)実生活のエネルギー消費には給湯もあれば、照明・家電もあり、暖冷房の割合は全体のおよそ1/4程度。エコキュートや高効率エアコンなどについても、各々の省エネ効果はわかっていたのですが、「家全体で考えた場合にどれほどの省エネになるのか?」と いうふうに考えてそれを数値化することは大変難しいことでした。

 (中略)今後はさらに、『どうすれば快適でさらに省エネな住まいをつくることができるのか?』を考えそして実行していきます。

 (中略)住宅の立地条件および住まい方に応じて極力自然エネルギーを活用した上で、建物の設計手法に注意を払うだけではなく、使用するエアコンや冷蔵庫等の電化製品まで含めたエネルギー消費量を計算し、居住性や利便性の水準を向上させつつエネルギー消費量を削減させることのできる家。

 地球に負荷をかけない、太陽の力や心地よい風などの自然エネルギー利用などの昔からの日本人の知恵と、断熱や気密、高効率な照明設備や給湯設備などの現代の技術を併せ持った家づくり。それが私の目指す『地震に強く、住む人と地球にやさしい家』です。

■数値化には注意も必要

 東日本大震災を経験する前、今から7年以上前に書いたこのひげ日記の内容を読んで、「なかなか鋭い!」と自ら妙に納得してしまいました。今回の省エネ法改正で家全体のエネルギー消費量を見えるようにするという考え方には、私も非常に賛成で正しい方向だと考えます。

 ただし、少し注意も必要です。例えば建築的な工夫は何も行わず、断熱性能も普通で、小さな窓とそれなりの省エネ設備、太陽光発電を乗せれば数字上はエネルギー消費量の少ない住宅が出来上がります。でもその住宅は省エネですが、快適な住宅にはなりません。改正省エネ基準の数値をクリアする事は当然必要ですが、数値だけを追い求めても快適な家にはならないという事も皆様には知っておいていただきたいのです。

■省エネ住宅を考える順序

 快適で省エネな住宅を建てるのにはまず最初に敷地を読み、その敷地条件にあった建物の配置や窓の位置、そして断熱や気密、日射遮蔽などの検討を行うことです。次にそこに住む家族の構成や住まい方を家づくりに反映させること。そしてその家に適した給湯や暖冷房などの機器などを選定し、最後に太陽光や太陽熱等の再生可能エネルギ-について検討するという順序が大切です。  

 設備機器なら寿命が来れば取替えれば済みます。大切なのは、後からでは取り替えることの難しい部分です。それは結局、機械などに頼らない断熱や気密、そしてパッシブなどの設計手法だということなのです。弊社が目指すのは、これまでも、そしてこれからも、『地震に強く住む人と地球にやさしい家』~快適で省エネなエコハウス~です。

それではまた来月  お会いしましょう。

㈱建築工房わたなべ 代表取締役 渡邉泰敏