2024年02月:【『耐震性能について考える』】

 みなさまこんにちは、渡邉です。11日に発生した能登半島地震は、地震の規模マグニチュード7.6、最大震度7、津波による被害も発生した巨大地震でした。その後も震度5程度の余震が1週間以上続き、広範囲に被害をもたらしました。
犠牲となった方のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆さまのいち早い生活再建を祈念致します。

今月号のひげ日記では、この地震を振り返り、静岡県に住むものとして明日は我が身と考え、地震対策について考えたいと思います。まずは防災シンクタンク「だいち災害リスク研究所」所長の横山芳春氏が現地を緊急調査したレポートよりそのまとめとして、以下のような提言を紹介させていただきます。

■地震対策の考え方

『避難の必要がない場所で、家が損壊せず、家具の転倒で怪我をしなければ、地震後も自宅を避難所として住む続けられることになります。まずは立地のリスクを正しく知って、どのように避難する必要があるのか、ないのか。住宅の耐震性は十分か、関心を持って自ら調べ、知って欲しい。液状化地域であれば建築前に調査や対策を行う、新築する際には耐震等級3の家を建てる、既存住宅であれば耐震診断・耐震補強をすることで、まず我が家の倒壊で命を失うということもなくなるだろう。

その次に、ケガをしないための家具配置や間取り、そして家具の固定と言うステップが必要だ。その後で、ようやく備蓄というステップが望ましい。決して日本全国、どこでも能登半島は対岸の火事ではない。』

私も横山さんのおっしゃる通りだと思います。ただ、建築士として追加して皆様にお伝えしたい事がありますので、以下に説明させて頂きます。

■耐震等級について

建物の耐震性能レベルを表した指標が「耐震等級」です。耐震等級は建築基準法が定めている最も低いランクの「耐震等級1」。これは最低限守るべきレベルで建物の倒壊防止を目的としていて、住み続ける事を想定していません。
次が等級11.25倍の耐震性能の「耐震等級2」。
そして最も耐震性能の高い耐震等級11.5倍の耐震性能で消防署や警察など防災拠点と同等の耐震性の「耐震等級3」です。提言にある新築なら耐震等級3には賛成ですが、じつはやっかいなことに耐震等級の検討方法も3種類あるのです。

①仕様規定による簡易計算  ②性能表示による計算  ③許容応力度計算です
①が最も簡易的な計算で②そして③と徐々に詳細な計算が必要になります。
問題なのは①による最も簡易な方法が耐力壁の量が最も少なく、②、③と詳細な計算をすればするほど耐力壁の量が増えていくという事です。もちろん、それだけ建物に適した耐震性能を満たすことになるのですが、①の最も簡易的な方法でも建築基準法上は問題無いのです。手間を掛けて詳細に計算すればするほど耐力壁が多くなり、その分コストも増えるのであれば、手間を掛けず簡単な計算だけで建築基準法ギリギリでも良いと考える会社も沢山ありますが、それも合法なのです。

弊社では③の許容応力度計算を行い最も耐震性能の高い「耐震等級3標準仕様としています。手間やコストを掛けて、なぜそんな事をするのか?それは、住まいは、「いのちの箱」だと考えているからです。
住まいは、大切なお客様の家族や財産そして未来をも守るシェルターなのです。そういう考えのもと、弊社は耐震性能にすごく拘っています。長期優良住宅の認定基準は耐震等級2で良いことも、耐震等級3を取るためには詳細な構造計算をしなくても良いことも承知しています。

でも私は知っています。簡易な計算を行って耐震等級3を取得した建物で詳細な許容応力度計算を行うと、耐力が足りない場合があることを。合法ではあるけど、私には気持ち悪く、自信をもってお客様におすすめできないのです。

弊社では「地震に強く住む人と地球にやさしい家」を目指す、と皆様にずっと言い続けています。新潟中越地震や東日本大震災、熊本地震の被災地を直接訪れ、決して耐震等級3は過剰な性能などではなく、必要な性能なのだと改めて認識し、さらに検討し改良を加えて更なる独自基準も設定してきました。

震度階は震度7が上限で震度8が存在しないので、あらゆる震度7に耐えるという建物は存在しません。しかし、震度7の下の方であれば、2回来ても大丈夫という性能は確保するべきだと考えています。

■さいごに

 今回はかなり分かりにくい「ひげ日記」となってしまいました。世の中にはよくわからない「耐震等級3相当」などと説明する会社もあるようです。私が皆さまにお伝えしたいのは、家を建てるなら許容応力度計算による耐震等級3必須だということです。

詳しいことを知りたい方はいつでも弊社宛に問い合わせ下さい。

それではまた来月お会いしましょう。

㈱建築工房わたなべ 代表取締役 渡邉 泰敏