■地盤について考えてみませんか?
【まとめ】
家づくりの基礎となる「地盤」。実は、建物そのものよりも重要とも言われています。
いい地盤とは「固くて安定している土地」のことですが、どう判断すればいいのか、何を見ればわかるのか、普段の生活ではピンとこない方も多いでしょう。本コラムでは、地盤が良い土地の特徴や、日本各地の地盤の強さランキング、そして自身が暮らす土地を知ることの大切さについて、わかりやすく丁寧にまとめました。
家づくりを検討している方はもちろん、今の暮らしをより安心なものにしたい方に向けて、地盤の基本とその見極め方をお伝えします。
【目次】
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いい地盤に共通する5つの特徴
3-1. 地層の年代が古く、締め固まっている
3-2. 標高が高く、地下水位が低い
3-3. 盛土ではなく自然の地形でできている
3-4. SWS試験で高い値(N値)が出ている
3-5. 古くから神社・仏閣が立つ土地である
1.はじめに:家づくりは”地盤”から始まる
家づくりを考えるとき、多くの人がまず思い浮かべるのは、間取りやデザインではないでしょうか。どんな外観にしようか、どのくらいの広さにしようか、キッチンは対面式がいいか…夢が膨らむのは当然です。
しかし、忘れてはいけない最も重要な要素があります。それは 「地盤」 です。
どれだけ耐震性の高い家でも、地盤そのものが弱ければ十分に力を発揮できません。逆に、地盤がしっかりしていれば、建物は本来の性能を長く保ち、暮らしの安全性も高まります。
2.「いい地盤」とは何か?基本の考え方
そもそも「いい地盤」とは、どんな状態を指すのでしょうか。
もっともシンプルに言うと
“長く安心して住むことができる、丈夫で安定した土地”
ということです。
具体的には、
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地震の揺れに強い
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住宅が沈みにくい(不同沈下しにくい)
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水害に強い
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水はけが良い
といった特徴があります。
地盤は地面の中なので目で見えず、普段意識しにくいですが、家を支える見えない土台として非常に重要です。
3.「いい地盤」に共通する5つの特徴
調査したところ、地盤がよい土地には次の 5つの共通点 があることがわかっています。
3-1.地層の年代が古く、締め固まっている
古い地層は長い年月をかけて自然に締め固まり、強固な地盤になっています。
逆に、新しく堆積した地層は柔らかく、揺れや沈下に弱い傾向があります。
地層が古いかどうかは地質図や自治体の公開データで知ることができます。
3-2.標高が高く、地下水位が低い
標高が高い土地は水害に強く、地下水位も低いことが多いため、地盤が安定しています。
地下水位が高い土地は地震時に液状化するリスクが高まるため要注意です。
3-3.盛土ではなく自然の地形でできている
造成された盛土地は、土を運び入れて作るため本来の地形より弱くなる場合があります。
一方、自然の地形は地質が安定しており、地盤としても信頼性が高いと言えます。
3-4SWS試験で高い値(N値)が出ている
土地の硬さを調べるために行うのが SWS試験(スクリュ-ウェイト貫入試験) です。
専門家が地盤に鉄の棒を押し込み、その硬さを測定します。
数値が高いほど「硬い地盤」。
つまり、建物を支える力が強い土地ということです。
3-5.古くから神社・仏閣が立つ土地である
興味深い指標として「古い神社やお寺が近くにある土地は地盤が良い」という考えがあります。
昔は人の暮らしやすさ、災害の少なさを重視して神社や寺院を建てていたため、結果的に 安全な土地に建てられてきた のです。
科学的根拠だけでなく、歴史的な知恵も地盤の良し悪しを知るヒントになります。
4.全国の地盤ランキングとその理由
日本の47都道府県の中で、地盤が良い県ランキングでは次のようになっています。
1位:沖縄県
2位:群馬県
3位:福島県
沖縄県が1位なのは、琉球石灰岩と呼ばれる強固な地盤が広く分布しているためです。
群馬県は山間部が多く自然地形が多いこと、福島県も地層が古く広い地域で安定しています。
こうした地質の特徴がランキングに強く影響しています。
5.静岡県はなぜ22位?地形の多様さと特徴
静岡県は全国的に見ても地形が非常に多様で、
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海岸の砂地
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火山の影響を受けた土地
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河川沿いの低地
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山間部の硬い地盤
といった具合に地域差がとても大きい県です。
そのため、県全体で見ると 中間の22位 となっていますが、場所によっては非常に良い地盤もあれば、注意が必要な土地もあります。
「静岡だから地盤が弱い」ということでは絶対にありません。
大切なのは“その土地ごと”の性質を知ることです。
6.自分たちが暮らす土地を知る大切さ
家づくりの節目や記念日には、住んでいる土地について改めて調べてみるのもおすすめです。
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この土地は昔どんな場所だったのか?
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昔から人が住んでいたのか?
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近くに古い神社はあるか?
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地盤調査の結果はどうだったのか?
こうした情報を知ることで、日々の暮らしへの安心感が大きく高まります。
7.家づくりを考える人へのアドバイス
地盤は専門的に思えて敬遠しがちですが、実際は「知るだけで安心できる情報」が多くあります。
家づくりを考えている方は、
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プロによる地盤調査
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事前の土地履歴の確認
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ハザードマップのチェック
などを活用することで、安全性の高い家づくりにつながります。
もし疑問や不安があれば、気軽に当社に相談していただくことをおすすめします。
8.まとめ:地盤を知ることは”暮らしの安心”を知ること
いい地盤の条件には科学的なポイントだけでなく、昔の人が残した知恵も含まれています。
そしてそれらを知ることで、自分が住む土地への理解が深まり、安心して暮らせる家づくりに近づくことができます。
ちなみに、11月28日は、”い(1)い(1)じ(2)ば(8)ん”の語呂合わせから『いい地盤の日』という記念日になっています。そういう記念日や節目のタイミングは、土地の由来や地盤について調べてみる絶好の機会です。
わからないこと、気になることなどがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

