2015年12月:【本格的な低炭素時代へ】

■COP21

11月30日、世界100カ国以上の指導者たちが国連のCOP21(気候変動枠組条約第21回締約国会議)に参加するためにパリに集まりました。痛ましいテロが発生して間もないフランス・パリに主要国の首脳たちがこぞって集まったのは、今回のCOPは気候変動をめぐる国際交渉の歴史上、京都議定書以来のきわめて重要な会議となるからです。

 京都議定書では、温室効果ガス排出大国のアメリカが早々と離脱し、日本も東日本大震災後の第2約束期間からリタイヤしました。そもそも京都議定書での温室効果ガスの削減義務を負うのが先進国のみで、排出量の多い中国は“途上国”に分類され、その削減義務を負いませんでした。

 そうした反省を踏まえ今回のCOPでは、先進国・途上国を問わす全ての国が参加する枠組みをつくろうとしています。COP21に先立ち約170もの国と地域は「約束草案」と呼ばれる温室効果ガスの削減目標や行動計画を提出しました。この国々の排出量合計は、全世界の排出量の9割以上あります。その意味では、世界中の国々が、COP21で合意を成立させ協調して気候変動対策を進めていこうとしているのだと思います。

 日本の目標は「温室効果ガスを2030年度には2013年度比で26%削減する」というものです。なかでも、私たちの暮らしに関係する家庭部門のCO2については約40%の削減目標を掲げています。

■住宅のゼロエネ化推進

 11月26日政府と経済界の代表による「未来投資に向けた官民対話」の会合が開かれました。そこで安部総理大臣は次のようにのべられました。
  住宅の省エネを促進してまいります。

 2020年までに、ハウスメーカー等の新築戸建ての過半数をネット・ゼロ・エネルギー・ハウス化するとともに、省エネ・リフォームを倍増させてまいります。

 ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)とは、住まいの断熱性能を大幅に高めた上で、高効率設備等を導入し、室内環境を快適に保った上で大幅な省エネを実現し、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入によりゼロエネルギーを達成する住宅のことです。

  また「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策」に盛り込まれた住宅分野の施策では省エネ性に優れた住宅・建築物の取得負担を軽減し、波及効果の高い住宅投資を促進するとなっています。

■自動車にも環境性能課税

 政府は、再来年4月、消費税率の10%への引き上げに合わせて、自動車購入時にかかる「自動車取得税」を廃止し、購入の際にも燃費に応じて課税する新たな制度の導入を予定しています。電気自動車など最も燃費性能の高い車は非課税とし、性能が低くなるにつれて1%ずつ税率が上がり、最も高い税率を3%とするとしています。

 軽自動車も非課税対象や税率1%は普通車と同じ基準で、それ以外は税率2%となるようです。

 これらをはじめ近年の状況をみていると、あらゆる分野でCO2排出削減が求められています。今後はCO2の排出がコストになるということです。もちろん住宅の場合も例外ではなく、ZEHをはじめ環境性能の良い家づくりを誘導する施策が更にとられるようになると思います。

 新築はもちろんリフォームをお考えの方も、地球の未来のため、次の世代そしてその次の世代のためにも、環境にやさしくそしてお財布にもやさしい家づくりをしていただきたいと思います。

 弊社では以前より、我慢して省エネでは無く、快適で省エネなエコハウスを提唱してきました。今月は3会場で見学会を開催いたします。家づくりをお考えのかたは、論より証拠、是非会場に足を運んでいただきたいと思います。今回の見学会は全会場ともゆっくりご覧になっていただくために、完全予約制となっております。詳しくは新聞挟み込みの完成見学会のご案内をご覧ください。

 最後になりましたが、皆様本年も1年間本当にお世話になり、ありがとうございました。

 来年もよろしくお願い致します。
それでは皆様、よいお年を!!

㈱建築工房わたなべ 代表取締役 渡邉泰敏