《パッシブデザイン》

パッシブデザイン (passive design) とは、建物をとりまく自然や環境がもっているエネルギー(日射・気温・風・雨水・地熱など)を上手に利用できるように建物を設計することで、エネルギー消費を抑え、快適な生活環境や室内気候をつくろうとする設計の考え方・設計手法の事です。
(下記番号をクリックすると、その項目にジャンプします。)

1.日照をデザインする

2.通風をデザインする(自然風の採用)

3.高い断熱性と気密性を建物に備える

4.省エネルギ-につながる設備を提案する

5.設備機器に頼らず、心地良さをつくる

6.自立循環型住宅という優れた省エネルギ-住宅の設計法


 

 

1.日照をデザインする

太陽の動きを知り、1年を通じて室内を明るく、冬を暖かく、夏を涼しくする建物の工夫を行うのがパッシブデザインの基本です。私たちは太陽の性質や動きについて詳細な検討を行い、様々な日照デザインを建物に組み込みます。

①室内を明るくするための日照デザイン(昼光利用) 

画像

まずは南側に窓を設けることが基本としながら、とくに明るさが必要になるLDKや子供部屋では、2面以上の壁に窓を設けられるようなプランニングを行うことを検討します。また吹き抜けや天窓も北側の部屋に光を届ける賢い方法です。

画像

 

②冬を暖かくするための日照デザイン(パッシブソーラー)

静岡は冬に日射熱を利用することが極めて有効な地域です。建物に十分な断熱性や蓄熱性を持たせ、南側に設けた窓からたくさんの日照を室内に入れることで、冬の室温を安定的に上昇させることが可能になります。 

 

 

③夏を涼しくするための日照デザイン(日射遮蔽)

夏を涼しく過ごす住まいにするには、まずは何より日照を建物の中にできるだけ入れないようにすることが重要です。昼光利用のデザイン、パッシブソーラーのデザイン、そして次に述べる通風のデザインと併せ、日射遮蔽のデザインを十分に検討します。

◇日射取得、日射遮蔽シミュレーション
夏は日射を遮り、冬は日射を取り込む。言うのは簡単ですが、実際の設計では色々な工夫が必要となります。
よく言われる軒の出寸法も大切な要素ですが、それだけではダメです。夏を快適に過ごす為には、住まい方がとても大切です。シミュレーションをベースに、建築的な工夫を行い、快適な住まい方の提案もさせていただきます。サンプルのシミュレーション例では夏至、春分、冬至で出力しています。実際は夏の日射遮蔽は、夏至から9月下旬位までの期間で検討します。

◇Q値計算
断熱性能の検討のために熱損失係数の計算を行います。内外温度差1℃のとき、計画している住宅の床面積1㎡あたり、何wの熱が逃げているのかを計算します。本来はこうした計算を行わないと、必要なエアコンの能力を決めることもできません。

 

◇自立循環型住宅 実例評価

極力自然エネルギーを活用し、居住性や利便性を向上させつつ、居住時のエネルギー消費量を、2000年頃の標準的な住宅と比較して半減することを目指しています。弊社は、自立循環型住宅研究会に所属し、その会員専用のソフトを用いて計算を行っています。

 

◇CASBEE 評価

CASBEE(建築環境総合性能評価システム)とは、建物を環境性能で評価し、ランク付けする手法です。
弊社のCASBEE評価員が住宅の建築時から解体時までの環境負荷について総合的に評価します。 

 

 

2.通風をデザインする(自然風の採用)

1年を通じて適切な換気ができるように、そしてとくに夏とその前後では風を通して涼感が得られ、室内に溜まった熱を速やかに排出させるようにしておくのが「通風のデザイン」です。 

画像

 

画像

天窓は北側の部屋を明るくし、風を抜く窓としても極めて有効です。

 

 

3.高い断熱性と気密性を建物に備える

日照のデザイン、通風のデザインと並んで、私たちが重視しているのが断熱性と気密性です。これらも建物のあり方によって心地よさを生み出すものであり、私たちはパッシブデザインの一部として一緒に考えるようにしています。 静岡の気候を考えながら断熱性や気密性を十分に上げることによって、冬に大きなメリットがあることはもちろん、夏にもその効果を発揮します。

 

 

4.省エネルギ-につながる設備を提案する

パッシブデザインを十分に備えた上で、太陽光発電や太陽熱給湯といった自然エネルギーを活用する設備、そして効率のよい冷暖房・給湯・照明・換気に関わる設備の導入を検討し、ご提案しています。 

画像

画像

 

 

 

5.設備機器に頼らず、心地良さをつくる

陽や風の性質を知り、暖かさや涼しさのことを理解して建物のあり方をうまく考えれば、暑い夏の時期も寒い冬の時期も「春や秋」の室内環境に近づけることができます。それがパッシブデザインです。人工照明や冷暖房に頼った家づくりではなく、建物そのものに様々な工夫を行うことによって、心地よく、省エネルギーにつながる「地域の住まい」が生まれるのです。

 

パッシブ地域区分というのは、パッシブソーラー暖房(太陽熱利用暖房)のしやすさを区分したものです。静岡のほとんどの地域は日射量が多く、冬の気温がそれほど低くならないことから、もっともパッシブソーラーに適した地域、「ほ地域」として区分されています。

     

 

 

6.自立循環型住宅という優れた省エネルギ-住宅の設計法

国を挙げての省エネルギー住宅に対する研究が進められており、その成果は「自立循環型住宅」と呼ばれる具体的な設計法としてまとめられています。この自立循環型住宅では、省エネルギーに向かうための設計技術を次のように整理しています。最先端の省エネルギー住宅設計法である自立循環型住宅は私たちの家づくりにまさしく合致しています。

①自然エネルギーの活用
 a.昼光利用、自然風の利用、パッシブソーラー  b.自然エネルギー利用設備
②断熱、日射遮蔽
③省エネルギー設備の導入